10/07/30 死ぬ前にもう一度、君に逢いたい(3)

Mさん、お元気ですか?
幼なじみのKです。

ともに東京オリンピックの年に生まれ、
親同士の仲が良かった私たちは、
物心つく前から仲良く遊んでいたようですね。

小さい頃のアルバムをめくると、
互いに兄弟のいない私たちは、
何をするにも、どこに行くにもいつも一緒で、
単なる幼なじみではない、双子の兄弟のようですらあります。

そんなあなたとの関係が大きく変わったのは、
小学校5年生の頃だったでしょうか。
それまで当たり前のように遊んでいたあなたの関係を、
男友達に冷やかされ、
私はあなたを避けるようになったのです。

ちょうど誰もが異性を意識し始める年頃のこと。
私は男友達の目のある学校でだけでなく、
誕生日にわざわざ家にプレゼントを持って来てくれたあなたを、
「帰れよ」と追い返してしまいましたよね。
あの後、母にこっぴどく叱られたのを今でも憶えています。
と同時に、あなたを傷つけてしまったことが、
ずっと心のどこかに痛みとして残っていました。

あなたともそれきり。
二度と話すこともないまま、
気がつけば別々の高校に行き、
別々の未来を歩いていました。

私があの町を出て、十数年後のこと。
あなたが地元で結婚したことを母から訊きました。
相手が、あの時、私を冷やかした男友達のAだと知り、もっと驚きました。
母親から訊いた話では、
Aは小学校の頃からあなたが好きだったとのこと。
あなたと仲良くしていた私をからかったのも、
全く無関係ではなかったのかもしれませんね。

同じようにあなたのお母さんからお聞きになっているかもしれませんが、
私は結婚し、
妻とともに、子供を三人育て上げました。
あなたに語るような派手な人生ではありませんが、
それなりにしあわせな人生だったと、今では思っています。

そんな私が、
今どうしてあなたのことを思い出し、
このような手紙を書いているのか、
正直、私自身良く分かっていません。

ひょっとすると、
兄弟のように育って来たあなたの身に、
何かあったのかとも思いましたが、
あなたの御両親と仲の良かった母が他界した今となっては、
それを確かめる術もありません。

すいません、縁起でもありませんね。
元気で活発だったあなたのこと。
きっと私以上に元気でしあわせな日々を送られていることと思います。

ではなぜ今になってこのような手紙を書いているのか。

私はただあなたに謝りたいのだと思います。
小学校5年の時、
私への誕生日プレゼントを持って来てくれたあなたを、
「帰れよ」と追い返し、傷つけてしまったことに対して。

年を取れば取るほど、
あの時のあなたのとても悲しそうな顔を思い出した時の胸の痛みは、
より大きなものになっていたからです。

本当に、本当に、ごめんなさい。

たぶん、いえ、きっと。

幼なじみのあなたは、私の初恋の人だったんだと思います。

            東京のKより、神戸にいる幼なじみのMさんへ


このメッセージはあなたのことを忘れられないあの人が書いたものかも知れません。
返事を書いてみませんか。

こちらからどうぞ