![]() |
![]() |
10/07/01 死ぬ前にもう一度、君に逢いたい(1) 神奈川県平塚市 YASUCO 43歳 「死ぬ前にもう一度だけ、あの人に逢いたい」 私がそう思ったのは、去年、人生で初めての大きな手術をした時でした。 早期発見だったので、最悪の事態までには至らなかったのですが、 それでも宣告から入院、手術までの間は、 「自分の死」というものを人生でもっとも近くで感じた時間だったと思います。 自分がこの世からいなくなるということ。 残される家族のこと。 何の為に生まれたんだろうということ。 死んだらどうなるんだろう。 いろいろ考えました。 そしてベッドの中でぼんやりと人生を振り返っていた中でふと思い出したのが、 大学4年の夏、ひとりでインドを旅した時に出会ったS君のことです。 S君も同じ大学生で、ひとり旅をしていました。 当時の私は、大学を出て、普通に就職してという、 周りと同じ未来を目前に足踏みをしていました。 当時つきあっていた彼や友達、親の反対を振り切ってひとり旅に出たのも、 「違う自分と出会えるかもしれない」 「違う道が見つかるかもしれない」 そう思ったからでした。 そんな私を理解してくれたのが、S君でした。 というより、私たちは同じ人間だったのです。 旅から帰った私は名古屋在住のS君と手紙などのやりとりを続けていました。 近くにいた当時の彼や、迫り来る卒業、就職との間で揺れながら。 そんな私のところに、卒業間際、S君から手紙が届きました。 「もう一度インドに行きます。今度はもっと長く。一緒に行きませんか?」 インドで出逢ったときから、 こっちで仕事を見つけて暮らしたいとS君は言っていました。 でも、私は飛び出すことはできませんでした。S君のことは好きだったけれど。 だからこそ、巡り巡って今の人生があるのですが、 あの時、何もかも捨てて、S君と一緒にインドに行っていたら、どんな人生だったんだろう? 自分の死を意識して初めて、これまで歩いて来た道を振り返りながら、選ばなかったもうひとつの人生を想像した時、無性にS君に逢いたくなったのでした。 逞しく日焼けした黒い肌と対照的な白い歯を出して、屈託なく笑うS君の眩しさに。 S君、元気ですか? しあわせですか? 私は、当時の私やS君が見たら、 笑うかもしれないくらい普通の道を歩いてます。 でも、こっちの道も、それなりにしあわせですよ。 あとどれくらい生きられるか分からないけれど、 死ぬ前にもう一度だけ、S君に逢いたいです。 「死ぬ前にもう一度だけ、君に逢いたい」 あなたがそう思うのは誰ですか? その人に伝えたいのはどんな想いですか? webmaster@8251net.com あなたのメッセージをお待ちしています。 このメッセージはあなたのことを忘れられないあの人が書いたものかも知れません。 返事を書いてみませんか。 こちらからどうぞ |